》へ這入るや否や三千代の顔《かほ》を見ると、三千代は先刻《さつき》代|助《すけ》の置《お》いて行《い》つた洋盃《コツプ》を膝の上《うへ》に両手で持つてゐた。其|洋盃《コツプ》の中《なか》には、代助が庭《には》へ空《あ》けたと同じ位に水《みづ》が這入《はい》つてゐた。代助は湯呑を持《も》つた儘《まゝ》、茫然として、三千代の前《まへ》に立《た》つた。
「何《ど》うしたんです」と聞《き》いた。三千代は例《いつも》の通り落ち付いた調子で、
「難有《ありがた》う。もう沢山。今あれを飲んだの。あんまり奇麗だつたから」と答へて、リリー、オフ、ゼ、※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]レーの漬《つ》けてある鉢《はち》を顧《かへり》みた。代助は此|大鉢《おほはち》の中《なか》に水を八分目《はちぶんめ》程|張《は》つて置いた。妻《つま》楊枝位な細《ほそ》い茎《くき》の薄青《うすあを》い色《いろ》が、水《みづ》の中《なか》に揃《そろ》つてゐる間《あひだ》から、陶器《やきもの》の模様が仄《ほの》かに浮《う》いて見えた。
「何故《なぜ》あんなものを飲んだんですか」と代助は呆《あき》れて聞《き》いた。
「だつて毒
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