が》い茶を飲《の》ませられて、しばらく雑談に時を移《うつ》した。今年《ことし》は芍薬《しやくやく》の出《で》が早いとか、茶摘歌《ちやつみうた》を聞《き》いてゐると眠《ねむ》くなる時候だとか、何所《どこ》とかに、大きな藤《ふぢ》があつて、其花の長さが四尺|足《た》らずあるとか、話《はなし》は好加減《いゝかげん》な方角へ大分《だいぶ》長く延《の》びて行《い》つた。代助は又《また》其方《そのほう》が勝手なので、いつ迄も延《の》ばす様にと、後《あと》から後《あと》を付《つ》けて行《い》つた。父《ちゝ》も仕舞には持て余《あま》して、とう/\、時に今日《けふ》御前を呼んだのはと云ひ出した。
 代助はそれから後《あと》は、一言《ひとこと》も口《くち》を利《き》かなくなつた。只謹んで親爺《おやぢ》の云ふことを聴《き》いてゐた。父《ちゝ》も代助から斯《か》う云ふ態度に出られると、長い間《あひだ》自分|一人《ひとり》で、講義でもする様に、述《の》べて行かなくてはならなかつた。然し其半分以上は、過去を繰り返す丈であつた。が代助はそれを、始めて聞くと同程度の注意を払つて聞《き》いてゐた。
 父《ちゝ》の長《な
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