なか》に巻《ま》き込めて、二百円の小切手が這入《はい》つてゐた。代助は、しばらく、それを眺《なが》めてゐるうちに、梅子《うめこ》に済《す》まない様な気がして来《き》た。此|間《あひだ》の晩《ばん》、帰《かへ》りがけに、向《むかふ》から、ぢや御金《おかね》は要《い》らないのと聞《き》いた。貸《か》して呉れと切り込《こ》んで頼《たの》んだ時は、あゝ手痛《てきびし》く跳ね付けて置《お》きながら、いざ断念して帰る段になると、却つて断わつた方から、掛念《けねん》がつて駄目《だめ》を押《お》して出《で》た。代助はそこに女性《によしやう》の美くしさと弱《よは》さとを見た。さうして其弱さに付け入る勇気を失つた。此|美《うつく》しい弱点を弄《もてあそ》ぶに堪《た》えなかつたからである。えゝ要《い》りません、何《ど》うかなるでせうと云つて分《わか》れた。それを梅子は冷《ひやゝ》かな挨拶と思つたに違《ちがひ》ない。其|冷《ひやゝ》かな言葉が、梅子の平生の思ひ切つた動作《どうさ》の裏《うら》に、何処《どこ》にか引つ掛《かゝ》つてゐて、とう/\此手紙になつたのだらうと代助は判断した。
 代助はすぐ返事を書いた。
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