さうして出来る丈|暖《あたゝ》かい言葉を使つて感謝の意を表した。代助が斯《か》う云ふ気分になる事は兄《あに》に対してもない。父《ちゝ》に対してもない。世間一般に対しては固よりない。近来は梅子に対してもあまり起《おこ》らなかつたのである。
代助はすぐ三千代の所へ出掛け様かと考へた。実《じつ》を云ふと、二百円は代助に取つて中途半端《ちうとはんぱ》な額《たか》であつた。是丈《これだけ》呉れるなら、一層《いつそ》思ひ切つて、此方《こつち》の強請《ねだ》つた通りにして、満足を買へばいゝにと云ふ気も出《で》た。が、それは代助の頭《あたま》が梅子を離れて三千代の方へ向《む》いた時の事であつた。その上《うへ》、女は如何《いか》に思ひ切つた女でも、感情上|中途半端《ちうとはんぱ》なものであると信じてゐる代助には、それが別段不平にも思へなかつた。否《いな》女の斯う云ふ態度の方が、却つて男性の断然たる所置よりも、同情の弾力性を示してゐる点に於て、快《こゝろ》よいものと考へてゐた。だから、もし二百円を自分に贈つたものが、梅子でなくつて、父《ちゝ》であつたとすれば、代助は、それを経済的|中途半端《ちうとはんぱ
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