から黄色い縮緬《ちりめん》の帯が、一時《いちじ》に風に吹かれて空《くう》に流れる様《さま》を、鮮《あざや》かに頭《あたま》の中《なか》に刻み込んでゐる。
母子《おやこ》は同時に振《ふ》り向いた。
「おや」
縫子の方は、黙《だま》つて馳《か》けて来《き》た。さうして、代助の手をぐい/\引張《ひつぱ》つた。代助はピヤノの傍《そば》迄|来《き》た。
「如何なる名人が鳴《な》らしてゐるのかと思つた」
梅子は何にも云はずに、額《ひたい》に八の字を寄《よ》せて、笑ひながら手を振り振り、代助の言葉を遮ぎつた。さうして、向《むか》ふから斯《か》う云つた。
「代さん、此所《こゝ》ん所《ところ》を一寸《ちよつと》遣《や》つて見《み》せて下《くだ》さい」
代助は黙《だま》つて嫂《あによめ》と入れ替《かは》つた。譜《ふ》を見ながら、両方の指《ゆび》をしばらく奇麗に働《はたら》かした後《あと》、
「斯《か》うだらう」と云つて、すぐ席を離れた。
七の四
それから三十分程の間《あひだ》、母子《おやこ》して交《かは》る/″\楽器の前に坐《すは》つては、一つ所《ところ》を復習してゐたが、やが
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