で、私の一生はよかれあしかれ、とにかく終つた、と思ふ。
満心の恥、通身の汗。
流れるまゝに流れよう[#「流れるまゝに流れよう」に傍点]、あせらずに、いういうとして。

 七月八日[#「七月八日」に二重傍線] 雨。

朝課諷経に随喜する。
新山頭火となれ。
身心を正しく持して生きよ。
午後、裸足で歩いて、福井まで出かけた、留置郵便物を受取る、砂夢路君の友情によつて、泊ることが出来た、そして、久しぶりに飲んだ、そしてまた乱れた。……

 七月九日[#「七月九日」に二重傍線]

とぼ/\と永平寺へ戻つて来た。
少しばかりの志納をあげて、南無承陽大師、破戒無慚の私は下山した。
夜行で大阪へ向ふ。

 七月十日 降る降る。

比古さんのお世話になる、何の因縁あつて、私はかうまで比古さんの庇護をうけるのか。
性格破産[#「性格破産」に傍点]か、自我分裂[#「自我分裂」に傍点]か。

 七月十二日[#「七月十二日」に二重傍線] 十三日[#「十三日」に二重傍線]

滞在。

 七月十四日[#「七月十四日」に二重傍線]

夕方、安治川口から大長丸に乗つて、ほつとした。
大阪よ、さよなら、比古さん、ありが
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