九時すぎてさびしい山駅柏原に着いた。
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□触処生涯[#「触処生涯」に傍点]、これが私の境地でなければならない。
□省みて恥づかしくはないか、私はあまりに我がまゝ気まゝではないか、ゼイタクではないか、プチブル的ではないか。……(五月廿九日所感)
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活花のお師匠さん――といつてもまだ若い――北光君は語る――
盛花からだん/\投入になつてゆくから面白いですよ。
○白樺は他の植物とは違つて、表皮を剥がれても痛痒を感じない――生育上支障を来さない――むしろそれを喜んでゐるやうに見えるといふ、営林署でも皮を剥ぐことそのことは構はないけれど、観賞上美観を妨げないやうに路傍の白樺だけは皮を剥がないやうにといつてゐるさうである(薪材として役立つより外なかつた白樺が趣味的に色々使用され初めたことはうれしいことの一つ)。
○その土地でその土地の人々にその土地の山の名とか河の名とかを訊ねて、知らない、知りませんと答へられると腹が立つ、これは学校の先生がよろしくない。
○銀汀君から聞いた米若[#「米若」に傍点]の話。
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