、神戸大阪の同人といつしよに、畑の梅林へ、梅やら雪やら、なか/\の傑作で、忘れられない追憶となるだらう、西幸寺の一室で句会、句作そのものはあまりふるはなかつたが、句評は愉快だつた、酒、握飯、焼酎、海苔巻、各自持参の御馳走もおいしかつた。
夕方私一人は豊中下車、やうやく愚郎居をたづねあてゝほつとした、例によつて酒、火燵、ありがたかつた。
雪は美しい、友情は温かい、私は私自身を祝福する。
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・暮れて雪あかりの、寝床をたづねてあるく
・木の葉が雪をおとせばみそさゞい
・雪でもふりだしさうな、唇の赤いこと
・春の雪ふるヲンナはまことにうつくしい
・春比佐良画がくところの娘さんたち
・からたちにふりつもる雪もしづかな家
追加一句
みんな洋服で私一人が法衣で雪がふるふる
[#ここで字下げ終わり]
三月九日[#「三月九日」に二重傍線] 愚郎居。
晴、雪はまだ消えない、春の雪らしくもなく降りつもつたものだ。
整理、裂く捨てる、洗ふ。
朝湯朝酒とはもつたいない、今日にはじまつたことではないけれど。
ほろよい人生[#「ほろよい人生」に傍点]、へゞれけ人生であつてはならな
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