黎君を訪ねる、理髪、会食、同伴で岔君を訪ふ。
岔水君はうれしい人だ、黎々火君も。
さびしいけれどあたゝかい家庭。
三月五日[#「三月五日」に二重傍線] ばいかる丸。
神戸直航の汽船に乗り込む。
さよなら、黎々火君、さよなら、岔水君よ。
さよなら、九州の山よ海よ。
テープのなげき。
こゝろやすらかな海上の一夜だつた。
三月六日[#「三月六日」に二重傍線] 詩外楼居。
朝、神戸着。
上陸第一歩、新らしい気分であつた。
詩外楼居。
めいろ君を訪ふ。
あたゝかく、ぐつすり睡れた、ありがたかつた。
詩外楼君に感謝する、奥さんにも。
三月七日[#「三月七日」に二重傍線] 詩外楼居。
曇、花ぐもりのやうな。
朝湯のあつさ、こゝろよさは。
めいろ居を訪うて、おいしい昼飯をいたゞく、それから新開地を散歩して、忍術映画見物、馬鹿馬鹿しいのがよろしい。
賀英子嬢をめぐまれためいろ君のよろこびをうたふ――
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雛をかざらう
雛のよにうまれてきた
[#ここで字下げ終わり]
何だか寝苦しかつた。
旅の袂草の感想。
三月八日[#「三月八日」に二重傍線] 愚郎居。
雪中吟行
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