つた、明後日また引返してくるつもりで。
私の滞在もずゐぶん長くなつた、桑が芽ぶいて伸びた。……
[#ここから1字下げ]
今日の収穫
[#ここから2字下げ]
・あるけばかつこういそげばかつこう
・落葉松は晴れ切つてかつこう
・若葉したたるながれで旅のふんどしを
・お山へのぼる花をむしつてはたべ
・岩に腰かけ樹にもたれ何をおもふや
・いただきの木のてつぺんで鳥はうたふ
・おべんたうをひらくどこから散つてくる花びら
・雲かげもない木の芽のしづか
・寝ころびたいスロープで寝ころぶ若草
・落葉松落葉まどろめばふるさとの夢
・落葉松落葉墓が二つ三つ
懐古園三句
・浅間は千曲はゆうべはそゞろ寒い風
・ゆふ風さわがしくわたしも旅人
・その石垣の草の青さも(牧水をおもふ)
・浅間をむかうに深い水を汲みあげる
・ぞんぶんに水のんで去る藤の花
・風かをる信濃の国の水のよろしさ
・虱がとりつくせない旅から旅
・浅間へ脚を投げだして虱をとる
・まんなかに池がある昼の蛙なく(岩村田遊廓)
・浅間したしいあしたでゆふべで
(此の二句父草居にて)
・ゆつくりいくにち桑が芽ぶ
前へ
次へ
全80ページ中44ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング