いつものやうに。――
甲州路。
信濃路。――
[#ここから2字下げ]
・あるけばかつこういそげばかつこう
(無相庵)
・のんびり尿するそこら草の芽だらけ
・浅間をまへにおべんたうは青草の
・風かをるしの[#「しの」に「マヽ」の注記]の国の水のよろしさは
歩々生死、一歩一歩が生であり死である、生死を超越しなければならない。
転身一路、自己の自己となり、自然の自然でなければならない。
自然即自己[#「自然即自己」に傍点]、自己即自然[#「自己即自然」に傍点]。
自問自答
ゆうぜんとして生きてゆけるか
しようようとして死ねるか
どうぢや、どうぢや
山に聴け、水が語るだらう
[#ここで字下げ終わり]
生の執着があるやうに、死の誘惑もある。
生きたいといふ欲求に死にたいといふ希望が代ることもあらう。
五月十八日[#「五月十八日」に二重傍線] 日本晴。
今日も無相庵江畔居滞在。
朝から郭公がさかんに啼く。
江畔老といつしよに閼迦流山へ遊ぶ、尻からげ、地下足袋、帽子なしの杖ついて、弥次さん喜多さん、とてもほがらかである。
長野種馬所の青草に足を投げ出して休む、右は落葉松林、左は赤松
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