一処でもあるが)、幸にして持合があるので、ビールとビフテキとをおごつてあげた、彼のよろこび、彼のかなしみ、それは私にもよく解る、君よ幸福であれ。
五月十四日[#「五月十四日」に二重傍線] 曇――晴。
こゝから引返すことにして、松井田まで歩き、そこから汽車で御代田まで、また歩いて暮れ方、平原の甘利君の宅に落ちつくことが出来た。
手打蕎麦も酒もうまかつた、よく睡れた。
五月十五日[#「五月十五日」に二重傍線] 曇。
附近散歩、小川でふんどしを洗ふ。
甘酒を頂戴するなど。
炬燵に寝そべつて悠々休養。
椋鳥がしきりに啼く、初めて郭公を聞いた、旅情あらたなり。
夜おそくまで閑談。
親子四人の睦まじい家庭。
五月十六日[#「五月十六日」に二重傍線] 曇、夜は雨。
お早う、椋鳥君、おや鶯も来てゐる。
さようなら、ごきげんよう。
再び江畔居の厄介になる。
午后は岩子鉱泉行、そして平根の粋花居へ、よばれて酔うて夜になつて帰る。
比古君黙壺君からの来信ありがたし、ありがたし。
五月十七日[#「五月十七日」に二重傍線] 雨、曇、そして晴。
稔郎君、粋花君来訪。
終日閑談、悪筆を揮ふ、
前へ
次へ
全80ページ中41ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング