二重傍線]

お天気がまたくづれて雨が降つてゐる、一室にこもつて書くことをする。
ほろゑひ人生でなければならない、私のやうなゑつぱらひ生活ではいけない。
微笑の一生[#「微笑の一生」に傍点]でありたい。

 四月廿五日[#「四月廿五日」に二重傍線](続)

雨、そして風だ、昨日、無理にもこゝまで来てよかつたと思ふ。
停電、わびしく寝る。

 四月廿六日[#「四月廿六日」に二重傍線] 晴。

早く起きて、梅軒・桃月・路耕の三君と共に六時の汽車で東京へ、今日は層雲記念大会である。
一天雲なし、ほがらかな日である。
九時着、孤独な散歩者、乞食坊主、築地本願寺参拝。
一時、会場伊吹へ(物貰ひと思はれて玄関番に断られたりして)。
愉快な大会であつた、なか/\の盛会でもあつた、知つた人知らない人、いろ/\の人に逢つた、誰もが打ち解けて嬉しさうだつた。
句会から宴会、十時すぎて、私は一人街へ出た、酔ふた元気で、銀座のカフヱーに飛び込んだりしたが、けつきよく、こんな服装では浅草あたりの安宿に転げ込むより外なかつた。
今日は旅愁をしみ/″\感じたことである。……

 四月廿七日[#「四月廿七日」に二重傍
前へ 次へ
全80ページ中31ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング