、私と専子君とはまた入浴して、そして来訪のSさんと飲みだした。
今夜も酔ふて、しやべつて、書きなぐつた、湯と酒とが無何有郷に連れていつてくれた、ぐつすりねむれた。……
ノンキだね、ゼイタクだね、ホガらかだね、モツタイないね!
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・波音強くして葱坊主
・道は若葉の中を鉱山へ
・けふのみちはすみれたんぽゝさきつゞいて
・すみれたんぽゝこどもらとたはむれる
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△黒船襲来、異人上陸で、里人は牛を連れて山へ逃げたさうな。
△黒船祭の前日。
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四月二十四日[#「四月二十四日」に二重傍線] 晴、后曇。
早朝、川ぶちの共同湯にはいる、底から湧きあがつてくる湯のうれしさ。
湯けむりが白く雑木若葉へひろがつてゆく、まことに平和な風景。
七時のバスで出発、松崎へ急ぐ。
峠のながめはよかつた、山また山、木といふ木が芽ぶいて若葉してかゞやく。
バスガールと運ちやんとの会話、お客は私一人。
九時松崎着、海岸づたいに歩く。
昨夜、飲みすぎたので、さすがの私も弱つてゐる、すべつてころんで向脛をすりむいだ[#「だ」に「マヽ」の注記]。
遠足の小学
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