バツト一
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物価騰貴、殊に生活必需品の騰貴は私を脅威する。
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五月廿三日[#「五月廿三日」に二重傍線] 雨――晴。
身心沈静、だが、まだ/\本物ではない、おちつけおちつけ、おちつかなければ、ほんたうの句は出て来ない。
久しぶりに味噌汁をこしらへて味ふ。
……不死身の捨身[#「不死身の捨身」に傍点]、押の一手でひた押しに押してゆく外ありません。……(或る友に)
ポストまで出かける、ついでに買物、酒、豆腐、酢。
やつこ豆腐はうまい、ちしや膾[#「ちしや膾」に傍点]もうまいな。
なやましくもなつかしい密[#「密」に「マヽ」の注記]柑の花の匂ひ、五月の匂ひ。
また街に出かけて飲む、W店、学校、そしてまたW店、たうとうそこで倒れた、まことに久しぶりのよい泥酔[#「よい泥酔」に傍点]であつたよ、しかし、ほんにしかし、酒は飲むべし、飲まれてはならない!
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△蛙の話
△羊の話
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アンゴラ兎の話
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人間は追剥。
羊が毛を刈り取られて風邪をひいた。
搾取に甘んじてゐる境地。
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