日今日多少寒さがゆるんだやうで、雪もよひが雪にならないで時雨になつた。
ねむれないので句の推敲をする。
更けて弱震があつた、それも寂しい出来事の一つ。
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田舎者には田舎者の句
老人には老人の句
山頭火には山頭火の句
┌素質┐
│年齢┼個性
└環境┘
┌創作的活動
│ 量よりも質
└批判、沈潜、表現
[#ここで字下げ終わり]
一月十二日[#「一月十二日」に二重傍線] 晴――曇――時雨。
霜晴れの太陽を観よ。
風が出て来た、風を聴け。
しようことなしにポストまで(SOSの場合だ!)、途中一杯ひつかけたが、足らないのでまた一杯、折からの空腹で、ほろりとして戻る(のん気なSOSの場合だね!)。
庵中嚢中無一物、寒いこと寒いこと(床中で痛切に自分の無能無力を感じた、私には生活能力[#「生活能力」に傍点]がない、そして生活意慾をもなくしつゝある私である)。
一月十三日[#「一月十三日」に二重傍線] 曇、折々氷雨。
薄雪、さらさらさら解ける音はわるくない。
今朝は食べるものがなくなつたので、湯だけ沸かして、紫蘇茶数杯、やむをえない絶食[#「絶食」に傍点](断食
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