い、それにしても私のやうに大飲したり大食しないですむやうな生活方法はないものだらうか!
食ふや食はずでも句は出来る[#「食ふや食はずでも句は出来る」に傍点]、こんなに苦しんでゐて[#「こんなに苦しんでゐて」に傍点]、しかも句が作れることは[#「しかも句が作れることは」に傍点]、何といつてもうれしい[#「何といつてもうれしい」に傍点]。
今夜も眠れない、疲れてはゐるが興奮してゐる、おい山頭火しつかりしろ、おちつけおちつけ!
三月六日[#「三月六日」に二重傍線] 曇、をり/\雨。
地久節。
亡母四十七年忌、かなしい、さびしい供養、彼女は定めて、(月並の文句でいへば)草葉の蔭で、私のために泣いてゐるだらう!
今日は仏前に供へたうどんを頂戴したけれど、絶食四日で、さすがの私も少々ひよろ/\する、独坐にたへかね横臥して読書思索。
万葉集を味ひ、井月句集を読む、おゝ井月よ。
家のまはりで空気銃の音が絶えない、若者たちよ、無益の殺生をしなさるなよ。
どうしたのか、今朝は新聞が来ない、今日そのもの[#「今日そのもの」に傍点]が来ないやうな気がする。
ほんたうに好い季節、障子を開け放つて眺める。
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