らするは酒のみてゑひ泣するに尚しかずけり
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大隈言道(草径集)
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なき時はなくて幾日かすぐすらむある日は酒のあるにすきつつ
今日は今日あらむ限はのみくらし明日のうれへは明日ぞうれへむ
・わが如く酒にいふらし音立ててうてはうつ手をまぬる山彦
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橘曙覧(志濃夫廼舎集)
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・とくとくとたりくる酒のなりひさご嬉しき音をさするものかな
菊かをるまがきの下にゑひたふれ南の山のからうたうたふ
・床になくこほろぎ橋を横に見てゑひたふれたるねごこちのよさ
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二月九日[#「二月九日」に二重傍線] 雪。
ずゐぶん冷える、終日臥床、死について考へつゞける、……死ぬることはむつかしい、死場所、死の方法……死の準備[#「死の準備」に傍点]、それが私に残された唯一の仕事だ!
道明寺糒を食べる、未知の友の温情を味ふ。
二月十日[#「二月十日」に二重傍線] 曇。
動けない。――
俳句を通して、心と心とが触れ合ふ(来信を読みつゝ)。
二月十一日[#「二月十一日」に二重傍線] 晴。
日本晴
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