傍線] 晴曇不明。
朝から飲む、飲む[#「む」に「マヽ」の注記]歩いて、酔つぱらつて、暮れて戻る、こんとんとして[#「こんとんとして」に傍点]何物もなし。
酔中、呂竹居に推参してお悔みを申上げたことは覚えてゐる、――この一事だけがせめてもの殊勝さだ、これで重荷が一つ抜けた。
一月廿八日[#「一月廿八日」に二重傍線] 雪だつたらしい。
こん/\眠る。
一月廿九日[#「一月廿九日」に二重傍線] 晴れたり曇つたりしたのだらう。
食べては眠り、眠りては食べ。――
樹明君から呼びに来たけれど行けなかつた。
一月卅日[#「一月卅日」に二重傍線] 雪。
めづらしく婦人客があつた、樹明君を尋ねて奥さんがやつて来られたのである、悲しい事実ではないか、樹明君よ、奥さんをいたはつてあげたまへ。
夕方、暮羊君しばらくぶりに来庵、一杯やらうといふので、酒と牛肉とを買うて来てくれた、愉快な酒だつた。
私には[#「私には」に傍点]、食べる事飲むことだけが残されてある[#「食べる事飲むことだけが残されてある」に傍点]!
一月卅一日[#「一月卅一日」に二重傍線] 晴。
霜白く空青し。
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