食はずでも句を作らずにはゐられない[#「食ふや食はずでも句を作らずにはゐられない」に傍点]、業《ゴウ》だよ[#「だよ」に傍点]。
一月廿五日[#「一月廿五日」に二重傍線] 曇。
やゝあたゝかくして小鳥のうた。
手紙を書く、書きたくない手紙だ、自己嫌忌、そして自己憐愍。
枯木を折る拍子に頭部に瘤をこしらへる、私自身が瘤のやうな存在[#「私自身が瘤のやうな存在」に傍点]である、ひとり苦笑する。
ポストへ出かける、トンビを質入して米を買ふ。……
私は癈人だ[#「私は癈人だ」に傍点]、だが[#「だが」に傍点]、私は良心的に行動したい[#「私は良心的に行動したい」に傍点]。
一月廿六日[#「一月廿六日」に二重傍線] 曇、小雪。
良心沈静。
Kからうれしいたよりがあつた、ありがたや、めでたや。
[#ここから3字下げ]
うれしいたよりが小鳥のうたが冴えかへる
[#ここで字下げ終わり]
初孫が生まれて来るさうな! 私もいよ/\おぢいさんになる!
……今日はぞんぶんに飲むつもりで出かける、……久しぶりに泥酔して動けなくなり、Wさんの店に泊めて貰ふ。……
一月廿七日[#「一月廿七日」に二重
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