、あさましさのかぎりだ、しつかりしてくれ、せめてもの気休めは夜ふけても戻つたことであつた。
一月廿二日[#「一月廿二日」に二重傍線] 晴。
寒くなつた、あたりまへの寒さだが、寒がりの私は、炭もなくしたから、寝床にちゞこまつてゐる外ない。
終日不快、よく食べる私も一食したゞけだ。
支那人のやうにメイフアース――没法子――とうそぶいてはゐられない。
一月廿三日[#「一月廿三日」に二重傍線] 晴。
大寒らしい寒さだ。
正午近く、T女来庵(彼女に感謝しないではないが、歓迎する気分にはなれない)、酒、下物、そして木炭まで持参には恐縮した、間もなく樹明君も来庵、飲みつゝ話す、話しつゝ飲む、酔はない[#「酔はない」に傍点]、酔へない[#「酔へない」に傍点]、夕方解散、よかつた、よかつた。
今夜は炬燵に寝ることが出来た、ありがたう。
どうでもかうでも、樹明君に苦い手紙[#「苦い手紙」に傍点]を書かなければならない。
一月廿四日[#「一月廿四日」に二重傍線] 曇。
午前中は晴朗だつたが。――
午後、Nさん来訪、同道して出かける。
貧乏、貧乏、寒い寒い、食慾、食慾、うまいうまい。
食ふや
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