に対して生活的にも世間的にも。
午後は散歩、八方原橋を渡つて北へ北へ、途中で数句拾ふ、W店に寄つて一杯また一杯! 好日、好日!
春が近い、といふよりも、春のやうなうらゝかさであつた、ぽか/\あたゝかであつた。
その日その日のくらしが楽であるやうに願ふ、一日の憂は一日にて足れり[#「一日の憂は一日にて足れり」に傍点]、一日の幸もまた一日で十分だ[#「一日の幸もまた一日で十分だ」に傍点]。
今夜も炬燵があつてうれしい。
深夜の水を汲みあげて、腹いつぱい飲んだ。
一月十八日[#「一月十八日」に二重傍線] 曇――雨。
好晴で爽快だつたが、間もなく曇つて陰欝で、そしてぬくい雨が降りだした。
朝から渋茶ばかりがぶ/\飲む、また絶食である、野菜少々食べる。
――寝るより外はなかりけり[#「寝るより外はなかりけり」に傍点]、といつたあんばいで、寝床の中で漫読。――
餓ほど[#「餓ほど」に傍点](死もさうであるが[#「死もさうであるが」に傍点])人間をまじめに立ちかへらせるものはない[#「人間をまじめに立ちかへらせるものはない」に傍点]、餓えたことのない胃は悲しんだことのない心臓のやうに[#「餓え
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