覚めて、それからはどうしても寝つかれない、本を読んだり句を作つたりしたが、長い長い半夜であつた。
[#ここから1字下げ]
事象の説明であつても[#「事象の説明であつても」に傍点]、それは同時に景象の描写である句[#「それは同時に景象の描写である句」に傍点]、さういふ句を作りたい、作らなければならない。
┌個性の文学
│ (個人主義を意味しない)
└境地の詩
(隠遁趣味ではない)
私はうたふ、小鳥と共にうたはう。
(私の句作態度としては)
石を磨く[#「石を磨く」に傍点]。――
(句作の苦しみと歓び)
[#ここで字下げ終わり]
一月十七日[#「一月十七日」に二重傍線] 晴。
日本晴! 天地悠久。
日が照つてあたゝかい、梅の蕾がほころぶだらう。
昨日、政府が発表した歴史的対支重大声明を読む、我々はこゝに日本国民の使命を新たに自覚し大和民族の将来を再認識して再出発したのである。
小鳥をうつな、うつてくれるな、空気銃を持ちあるく青年たちよ、小鳥をおびやかさないで、たのしくうたはせようではないか。
おごそかにしてあたゝかき態度[#「おごそかにしてあたゝかき態度」に傍点]、自他
前へ
次へ
全40ページ中13ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング