して、しみ/″\として。
――すまない、すまない、私は大地に跪づいて天に謝し、人に詫びる、あゝすまない、すまない。――

 十二月廿七日[#「十二月廿七日」に二重傍線] 曇。

悪夢のやうな私の生活、その中へ樹明君が女を連れて(無論、酒も持つて)、訪ねて来た。
現実はみじめすぎる[#「現実はみじめすぎる」に傍点]!
夜は農学校に宿直の樹明君を訪ねて泊る。

 十二月廿八日[#「十二月廿八日」に二重傍線] 晴曇定めなし。

寒さも本格的になつた。
身辺整理、心内整理[#「心内整理」に傍点]が第一だ。
私の心は此頃の天候のやうに、晴れたり曇つたり、しぐれたり、雪がふつたり。……
酔はない酒、いや酔へない心、彷徨。

 十二月廿九日[#「十二月廿九日」に二重傍線] 晴。

天高く地広し、――さういふ心がまへで生活せよ。
昨夜は湯田温泉に浸り、そのまゝ泊つた、そして早朝帰庵。

 十二月卅日[#「十二月卅日」に二重傍線] 晴。

今年もいよ/\押しつまつた。
私も人並に門松を飾つた。
理髪入浴、よい年を迎へよう。

 十二月卅一日[#「十二月卅一日」に二重傍線] 曇。

名残の雪でも降りだしさ
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