ぎる」に傍点](飲みすぎることはいふまでもなからう!)、とかく貧乏人の胃袋は大きい、ルンペンは殆んど例外なしに胃拡張的だ、私は自分でも驚くほど大食だ、白飯をぞんぶんに詰め込むと年寄にはもたれ気味[#「もたれ気味」に傍点]になるが、大麦飯[#「大麦飯」に傍点](米麦半々)ならば腹いつぱい食べてもあまり徹へないのである、あゝ食べることはあまりに痛切だ[#「あゝ食べることはあまりに痛切だ」に傍点]。
晩は久しぶりの豆腐で、おいしい麦御飯を頂戴した、張り切つた腹を撫でゝは結構々々!
夜、上厠後の痔出血で閉口した、焼酎と唐辛とのせい[#「せい」に傍点]だらう、老人は強い刺戟を慎むべし。
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――わが南京攻囲軍は十三日夕刻南京城を完全に占領せり。
江南の空澄み渡り日章旗城頭高く夕陽に映え皇軍の威容紫金山を圧せり。――
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[#地付き](上海日本海軍部公報)
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大空澄みわたる
日の丸あかるい涙あふるる (山生)
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十二月十五日[#「十二月十五日」に二重傍線] 快晴。
早起、身辺整理。――
小春日和のう
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