い足どりで精進しよう。
防火デーといふので、サイレン、鐘声、消防隊の活動がこゝまでもよく解る。
だいたい、このごろは何々デー何々週間が多すぎる、多ぎ[#「多ぎ」に「マヽ」の注記]たるは及ばざるにしかず、誰もが食傷してゐるやうである!
冬ごもり[#「冬ごもり」に傍点]、ことしはつゝましく私らしい冬ごもりをしたい、今日まづ炬燵の用意をした(今年はとても暖かくて、当分炬燵に用もないらしいが)。
おとなしく読書して今日一日を生きた。
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今日一日の生活[#「今日一日の生活」に傍点]――
それが私の生活の一切だ。
昨日を忘れ[#「昨日を忘れ」に傍点]、明日を考へない[#「明日を考へない」に傍点]。
私の生き方は正常でないかも知れない、だが、私には私の生き方として、かういふ生き方が最も自然[#「自然」に傍点]であり正当である。
[#ここで字下げ終わり]

 十二月二日[#「十二月二日」に二重傍線] けふも時雨。

早朝、樹明君がやつて来て(多分、よくない朝帰りだらう!)、一寝入して、お茶を飲んで、そしてそのまゝ出勤(感心々々)。
呂竹さんの奥さんが逝かれたさうな、お気の毒だ、さ
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