十一月廿七日[#「十一月廿七日」に二重傍線] 晴。

朝はよいかな、朝はよいかな、小鳥と共にうたはう。
――自省しつゝ私は独語する、――私のやうな変質的我儘者[#「変質的我儘者」に傍点]も或は千万人中の一人[#「千万人中の一人」に傍点]として許しては貰へないだらうか、枯木も山のにぎはひといはれるやうに。――
午後、頭痛がしてたまらないのでそこらを散歩する、櫨紅葉の美しい一枝を折つて戻る、あゝ亡き母の追懐! 私が自叙伝を書くならば、その冒頭の語句として、――私一家の不幸は母の自殺から初まる[#「私一家の不幸は母の自殺から初まる」に傍点]、――と書かなければならない、しかし、母よ、あなたに罪はない、あなたは犠牲となられたのだ。
朝も昼も夕も蕎麦粉を掻いて食べる。
夜が明けると起き、日が暮れると寝る、それもわるくない、おもしろい私の生活ではある。

 十一月廿八日[#「十一月廿八日」に二重傍線] 曇、時雨。

うれしいたより、大山の奥さんからのたよりはとりわけて、私をよろこばせた(龍造寺さんから、句集代として多分の喜捨を頂戴して感謝に堪へない)、おゝ大山君、ありがたう(それにつけても緑平老か
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