点]をおもふ。
ハガキが二枚残つてゐたので、岔水君と多々桜君とへたよりを書く、SOSを意味しないでもない。
散歩、ポストのあるところまで。
日々の新聞を待ち受けて読み耽る気持、その気持が、新聞は生活の一部[#「新聞は生活の一部」に傍点]であることを証拠立てる、とにかく新聞といふものは面白い、読まずにはゐられない。
夜は石油がないので(それを買ふ銭もないので)、宵から寝たが、なか/\寝つかなかつた、苦しい贅沢[#「苦しい贅沢」に傍点]とでもいはうか!
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┌流転美
│頽廃美
└壊滅美
凋落の秋の色
散る葉のうつくしさ
木の葉は散るときが最もうつくしい。
[#ここで字下げ終わり]
十一月廿六日[#「十一月廿六日」に二重傍線] 晴、時々曇。
おちついて、おちつき[#「き」に「マヽ」の注記]ほどおちついて読書。
……食べるものがなくなつて[#「食べるものがなくなつて」に傍点]、ます/\食べることの真実が解る[#「ます/\食べることの真実が解る」に傍点]。……
夕飯は米がなくなつたので、そばかき[#「そばかき」に傍点]ですます、そしてすぐ寝る、石油もないから!
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