“I am a rolling stone !”
もう地団太ふんではゐない。
尻餅をついたのだ!
[#ここで字下げ終わり]
十一月十五日[#「十一月十五日」に二重傍線] 晴。
うらゝかな日ざしが身ぬちにしみとほる。
私は最後の関頭に立つてゐる、死地に於ける安静!
身辺整理、いつでも死ねるやうに。――
健から電報為替が来た、おお健よ、健よ、合掌。
樹明君に一書を託し置き、直ぐ山口へ急ぐ、どうにかかうにか事件解決、ほつとする、ぐつたりして一風呂浴びてから一杯ひつかける、のんびりとS屋に泊つた。
純真であることの外に私の生きてゆく道はない[#「純真であることの外に私の生きてゆく道はない」に傍点]。
十一月十六日[#「十一月十六日」に二重傍線] 曇――晴。
朝、無事帰庵。
昨日の私、そして今日の私。――
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私も此事件を契機として断然更生します、作詩報国の心がまへで、余生[#「余生」に傍点]を清く正しく美しく生きませう。
[#ここで字下げ終わり]
酒を慎まう、自分を育てよう、ほんたうの山頭火を表現[#「ほんたうの山頭火を表現」に傍点]しよう。
信濃のH君から蕎
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