か。
自己破壊か。
自己忘却[#「自己忘却」に傍点]か。
[#ここで字下げ終わり]
十一月二日[#「十一月二日」に二重傍線] 三日[#「三日」に二重傍線] 四日[#「四日」に二重傍線] 五日[#「五日」に二重傍線]
飲んだ、むちやくちやに飲んだ、T屋で、O旅館で、Mで、K屋で。……
たうとう留置場にぶちこまれた、ああ!
十一月六日[#「十一月六日」に二重傍線] 七日[#「七日」に二重傍線] 八日[#「八日」に二重傍線] 九日[#「九日」に二重傍線]
南京虫に苦しめられた、それよりも良心に責められた。
南京虫よりも劣つた私だ、何といふ醜悪!
検事局にまはされ、支払を誓約して解放された。
歩いて戻つた。――
十一月十日[#「十一月十日」に二重傍線] 曇。
白紙になつて生きよう[#「白紙になつて生きよう」に傍点]、すなほに一切を受け入れよう[#「すなほに一切を受け入れよう」に傍点]。
嘘をいふな[#「嘘をいふな」に傍点]、善いことも悪いことも、他人に対しても、自分に対しても。
心気透明、澄みわたる心が刃物のやうに冴えかへる。
十一月十一日[#「十一月十一日」に二重傍線]
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