ふ。
蠅を打つにも、全心全力で打てば、めつたに打ちそこなうことはない。
みん/\蝉が鳴きだした、まだ短かくて下手だが私の好きな声だ。
寝苦しい。……
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┌くよ/\せずに事を運べ。
└けち/\せずに物を尊べ。
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七月七日[#「七月七日」に二重傍線] 曇――晴。
七夕祭、山口は賑ふだらう、湯田へ行きたいがバス代なし。
正法眼蔵拝読。
I家の人から馬鈴薯を貰ふ、私は薯類をあまり好かないけれど、それを下さる人情をありがたく頂戴する。
ハダカになりだした、世の中ハダカでよいわいな。
午後、油買ひに、いつものおぢいさんおばあさんの店で、焼酎一杯ひつかける、十二銭天国[#「十二銭天国」に傍点]だ。
まことにこれやこの酒仏飯仏そして水仏[#「酒仏飯仏そして水仏」に傍点]。
夜は芭蕉俳句鑑賞。
芭蕉はやつぱり偉大な詩人であつたと痛感する。
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泥落し[#「泥落し」に白三角傍点]
農村年中行事の一つとして
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七月八日[#「七月八日」に二重傍線] 晴、時々驟雨。
夏の朝のよろしさ、みん/\蝉のよろしさ。
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