心。
甘草(カンゾウ?)が咲いてゐたので生ける、忘れ草[#「忘れ草」に傍点]といふ名は気に入つた、何もかもみんな忘れてしまへ。
暑い、蒸暑い、遠く雷鳴、いよ/\梅雨もあがるらしい。
無知の世界[#「無知の世界」に傍点]か、無恥の生活[#「無恥の生活」に傍点]か。――
放下着、――善悪是非も利害得失も生死有無もいつさいがつさいみんないつしよに。――
菜園にて――
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山頭火が猿葉虫を殺しつゝ、「外道め」
猿葉虫は殺されつゝ(叫ぶだらう!)「人間の奴め」
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宇宙は生々流転する、――昨日の彼は明日の私だらう。
嵐雪の句はうまくて好きである。

 七月六日[#「七月六日」に二重傍線] 曇。

明けるのを待ちかねて起きる、虫がしきりに鳴いてゐる、流転の相[#「流転の相」に傍点]として一切を観ずる、万物は変化のあらはれ[#「変化のあらはれ」に傍点]である。
郵便は来たけれど、――失望。――
ポストへ、焼酎一合、豆腐二丁。
パイ一の世界[#「パイ一の世界」に傍点]はうれしい!
時知らず大根を播く、こんどはうまく大根になつてくれるやうに。
久しぶりに豆腐を味
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