だらうか、あんなにムチヤクチヤで、こんなにガンキヨウである。
きり/″\すが鳴きだした、金亀虫《カナブン》が初めてやつてきた(地虫はすでに鳴いてゐたが)。
毎日、しづかな[#「しづかな」に傍点]、あまりにしづかな日[#「あまりにしづかな日」に傍点]がつゞく、こんなではいつカンシヤクがバクハツするかもわからない、用心々々。
疳癪は必ずしも騒がしい時うるさい場合にのみ起るものではない。
蟻が塩物に集まつてゐた、まことに辛いものにも蟻[#「辛いものにも蟻」に傍点]である(だつて甘いものなんかないではないかなどと、蟻[#「蟻」に傍点]よ、逆襲することなかれ!)。
夕方、さびしいから、そこらをぶらつく、やつぱり慰まない、人間は人間の中[#「人間は人間の中」に傍点]、人間には人間がおもしろい[#「人間には人間がおもしろい」に傍点]。
几董、沼波、大魯の句を鑑賞する。
不眠、今夜はとても蚊が多い、二度も三度も蚊を焼いた、老いたるかな、山頭火!
今夜の夢は妙だつた、自動車がこんがらがつて、私もつきとばされたが。――
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物を尊ぶ[#「物を尊ぶ」に白三角傍点]。――
貨幣にごまかさる
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