を買ふ、みんなカケである。
くちなしの花[#「くちなしの花」に傍点]を活ける、くちなしの花はよいかな。
Jさんが筍をすぽり/\と切る、彼の所有だから文句はいへないけれど、人間には審美的感情がないと困るな!
降る/\、降れ/\、梅雨は梅雨らしく降るのがよいとは思ふけれど、屋根の漏るには閉口する、家だけではない[#「家だけではない」に傍点]、私までが漏るやうな[#「私までが漏るやうな」に傍点]。――
五年前――私がこゝに住みついてから※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]木した夾竹桃が最初の花を持つた――その頃の自分が考へられる、私の身心は荒んでしまつた。
当分は禁足[#「禁足」に傍点]の事。――
――奇妙な夢を見た、それはまことにグロテスクな夢だつた、私の胸には悪獣[#「悪獣」に傍点]が穴籠りしてゐるらしい。
[#ここから1字下げ]
┌求むるなかれ
│貪るなかれ
└持つなかれ
┌没我
│忘我
└無我
[#ここで字下げ終わり]

 六月三十日[#「六月三十日」に二重傍線] 雨。

今日も郵便が来ない、さらにさびしい日である。
先日から新聞を購読してゐる(今
前へ 次へ
全110ページ中88ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング