さつそく出かけて、払へるだけ払ひ、買へるだけ買ふ。
Kよ、ありがたう、ありがたう。
借金を返した気持は何ともいへない。
午後、またポストへ出かける、そして湯田まで思はず行つてしまつた。
酒と温泉とに対しては私はグニヤグニヤフニヤフニヤだ!
Kさんから菊正一本頂戴した、悪筆の代償として。
S屋に泊る、アルコールのおかげで、温浴のおかげで、そしてまた同宿連中のあけつぱなしのY談のおかげで、ぐつすりと睡れた。

 六月廿六日[#「六月廿六日」に二重傍線] 雨、雨。

宿酔。――
何だか身心が変調なので、いそいで帰庵。
フラフラする。――

 六月廿七日[#「六月廿七日」に二重傍線] 雨、雨、雨。

臥床、読書、自己を省察して冷汗を流す。

 六月廿八日[#「六月廿八日」に二重傍線] 曇、時々晴。

畑仕事、胡瓜やトマトに垣をこしらへてやる。
昨日も今日も閑居、読書三昧、無言行。
酒なく煙草なく燈火なし。……

 六月廿九日[#「六月廿九日」に二重傍線] 曇、そして雨。

朝、いつぞやの花売爺さんが来て、縞萱を所望した、代金として八銭くれていつた。
ポストへ、一杯ひつかける、石油を買ひ煙草
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