#「六月十五日」に二重傍線] 晴。

或は空梅雨かも知れない、なか/\降らない。
つつましい一日だつた、考へることも食べることも!
午後、湯田へ行く、途中はまつたく夏日風景であつた。
泰山木の花を観て、緑平老を懐かしがつた。
裏藪の筍がによき/\のぞきはじめた、当分、筍のうまさを満喫することだらう。
読書にも倦いて、そこらを散歩する、もう地虫が鳴いてゐる、イチハツ、ツツジ、ダリヤ、等々をもらうて戻る。
寝苦しかつた、それだけ私はなつて[#「なつて」に傍点]ゐないのだ。
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□俳句は態度の文学[#「態度の文学」に傍点]といはれる、動かしがたい至言である、だから道としての俳句[#「道としての俳句」に傍点]といふものがまた成り立つ。
□年中行事の一つとして、春の彼岸に行はれるといふ日のお伴[#「日のお伴」に傍点]はおもしろい、土落し[#「土落し」に傍点]なども。
□生死――行乞、犬――無心無我――
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 六月十六日[#「六月十六日」に二重傍線] 晴れたり曇つたり、ちよんびり降つたり。

机を北窓に移す。
初めて蚊帳を吊る。
みん
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