は紙一枚[#「紙一枚」に傍点]に過ぎないかも知れない、しかし、――しかしである、作者は幼稚を脱して枯淡に徹するまでに数十年の血みどろな精進をつゞけて来たのである。
□自然に即して思想が現はれる[#「自然に即して思想が現はれる」に傍点]、思想を現はすやうに自然を剪栽するのではない、――これが私の現在の句作的立場である。
[#ここで字下げ終わり]
五月三十日[#「五月三十日」に二重傍線] 晴。
早起、身辺整理、久しぶりに身心明朗。
暮羊君久々にて来庵、病気全快は何より、例の如く無駄話、ついていつて雑誌を借り酒を貰うて戻る(君はまだ飲んではいけないさうで)。
十二時頃、樹明君来庵、旦へ行かうといふ、同行はSさんKさんたち(旦は、私の第二の故郷である、そこの鯛を食べ酒を飲むことは楽しい)、お仲間入したいけれど会費三円が出来ない、K店で借らうとしたが、月末でどうにもならないさうである、残念ながら参加中止、帰庵して、例の一本を傾けた、寂しかつたが、けつきよくは、よかつた、よかつた、酔ひました、ほろ/\とろ/\、そして湯田へまた参りました(Y店で壱円借りまして)、熱い湯、熱い湯、熱い湯に浸ると
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