。
小鳥がいろ/\来ては鳴く、鶯も鳴いてゐる。
私にも春が来てゐるのだが、何となやましい春[#「なやましい春」に傍点]!
青春のなやみと老境のなやみ[#「青春のなやみと老境のなやみ」に傍点]、だいたい、老境にはなやみなんどあつてはならないのだが。
身心共に貪るなかれ[#「身心共に貪るなかれ」に傍点]、たとへば微酔にあきたらないで泥酔にまでおちいることもホントウではない。
食慾減退、とても大きな胃袋の持主の私なのに。
蜂がしきりに鳴いてそこらを飛びまはる、おまへもまた落ちつけないのか。
街へ油買ひに、ついでに入浴、さつぱりした、のうのうした。
春、春、春、まつたく春だ。――
さくらもちらほら三分咲き、金鳳華咲いてこゝかしこ。
そして議会はとつぜん解散になつた。
何もかも動揺してゐる、私自身のやうに。
夕方、暮羊君来庵、先夜の脱線ぶりを互にぶちまけて笑ふ(私はむしろ泣く気持だ)。
人生はひつきよう泣き笑ひ[#「泣き笑ひ」に傍点]らしい。
招かれて、いつしよに行く、奥さんの手料理でほろ/\酔うて戻る。
自浄吾意[#「自浄吾意」に白三角傍点]、――そこに建て直しの鍵がある。
猫が虎のやうになる
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