1字下げ、折り返して2字下げ]
□たつたこれだけか[#「たつたこれだけか」に傍点]! 私の一生は[#「私の一生は」に傍点]!
□とにかく、花を見てゐると、或は月を仰いでゐると楽しい――少くとも腹は立たない!
 私の花であり[#「私の花であり」に傍点]、私の月だ[#「私の月だ」に傍点]。
□「遊ぶ[#「遊ぶ」に傍点]」は「怠ける[#「怠ける」に傍点]」ではない、前者は緊張、後者は弛緩。
□仏法のために仏法を修める。
 俳句のために俳句を作る[#「俳句のために俳句を作る」に傍点]。
 たゞたゞ余念[#「余念」に傍点]あるべからず。
□物そのものになる[#「物そのものになる」に傍点]、なりきる[#「なりきる」に傍点]。
□作者は作者である限りヱゴイストであつてよい。
[#ここで字下げ終わり]

 二月九日[#「二月九日」に二重傍線] 晴。

日本晴、まつたく春だ、朝寝したことも春らしかつた、蕗のとうをさがしあるくこともまた。
終日読書、読み労れるとそこらを歩く。
今日はほんたうに好い日だつた、観念的には日々好日といふけれど、実感[#「実感」に傍点]としてはいつもさうとばかりはいへない、よつぽ
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