愚痴ともいへる。
□空洞から生れる句[#「空洞から生れる句」に傍点]、それは水のやうな、或は風のやうな句。
□一時の睡眠から永遠の睡眠[#「永遠の睡眠」に傍点]へ――やつぱり催眠剤がよい、――酒を腹いつぱい飲んで、それから寝床に横はつて。――
□母の死……弟の死……祖母の死……父の死……さて、次の番は……どうやら順番が来たやうだ、いや、順番にしなければならないやうだ。……
□米櫃に米がある、酒徳利に酒があることは何といふ幸福だろう、反古籠に反古があることさへも。
□over value よりも under value
□酔ふ、遊ぶ、そして滅ぶ。……
[#ここで字下げ終わり]

 二月七日[#「二月七日」に二重傍線] 曇。

暖かい雨、もう春が来たやうな。――
新聞を読んで、朝飯をよばれて、おとなしく帰庵。
ルナアル日記を読みつゞける、ゆつくりと落ちついて。
どこかで仔犬が鳴きわめく、と仔犬のいぢらしい姿態が眼前にうかびあがる。……
彼には盗癖があるらしい(N屋の店員)、すつかり嫌になる、彼の何でもない一挙動が私をこんなにも憂欝にする。……
樹明君来庵、酒を持つて――飲んで話してゐるとこ
前へ 次へ
全110ページ中27ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
種田 山頭火 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング