のリズムがあることを味はゝなければならない。
□行き詰ることはよろしい、ホントウは行き詰る、ウソはだら/\歩く、時々地駄太ふむのもよろしい。
[#ここで字下げ終わり]

 二月六日[#「二月六日」に二重傍線] 曇。

しつかりしろ! 山頭火!
足が痛い、善哉々々。
――もつと賢くなるか、それとも、もつと馬鹿になるか、とにかく中途半端がよろしくないのだ。
昨夜の今朝[#「昨夜の今朝」に傍点]で、嫌な気持だ、地球よ、さつさと廻転しろ、山頭火よ、どし/\歩め。
心がむづ/\する、お天気もよくない、降るなら降れ、照るなら照れ。……
怠惰の安逸に浸る、放心はありがたい。
うつろのやうな肉体を火燵のぬくさにつゝんで読書、ルナアル日記を読みつゞける、だん/\落ちついてくる。
ルナアル日記はちようど父の死を語つてゐる。
貪る心[#「貪る心」に傍点]が何よりも悪いと思ふ。
駄作、悪作、愚作、――せめて凡作[#「凡作」に傍点]を――傑作は出来ないから――もちろん、人生の、生活の、私の身すぎ世すぎである。
昨夜、貰つて来た馬肉(酔中でも遺失しなかつた)を煮る、佃煮にする、おもひで果てなし。
ハガキを貰つたか
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