」に傍点]、あはれ/\。
天地人一切の有象無象!
酒、酒、餅、餅、新年、新年。
老醜[#「老醜」に傍点]。――

 一月四日[#「一月四日」に二重傍線] 曇。

やゝ落ちつく。
午後、樹明君来庵、酒一杯、飯一杯。
夕方、敬君来庵、一升樽さげて。
同道して湯田へ、一浴して戻る、酒が残つてゐるのでそれだけ飲む。
熟睡安眠、夢も見なかつた。

 一月五日[#「一月五日」に二重傍線] 晴。

日本晴である、昼寝。
樹明君来訪、例の如く酔うてそれからそれへ、――馬鹿、阿呆。――

 一月六日[#「一月六日」に二重傍線] 雨――曇。

陰欝な一日。
餅があるので、鼠が来てゐるお正月(いつもはゐない、ゐつかない)。
考へる、――強く生きよ[#「強く生きよ」に傍点]。

 一月七日[#「一月七日」に二重傍線] 曇。

或る青年来庵、間もなく樹明君来訪、三人でのんびり飲む。
咲いた、咲いた、机上の梅が、床の水仙が。
一人となればまた沈欝な一夜。

 一月八日[#「一月八日」に二重傍線] 曇。

あたゝかい冬だが、昨日今日はさすがに寒い。
閑居読書。

 一月九日[#「一月九日」に二重傍線] 曇。

一切
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