[#「飯」に傍点]もありがたいが水[#「水」に傍点]もありがたい。
夜おそく八幡連中来庵、星城子、鏡子、井上、杉山さんの四人。
豚を鋤焼して飲む、ごろ寝したのは三時を過ぎてゐたらう。

 一月二日[#「一月二日」に二重傍線] 曇。

朝寝して、起きるとまた酒、豚汁はおいしかつた、さすがに井上さんはコツクだつたらしい。
堤さん、後を追うて来た、お土産として銘酒二本。
夕方、みんないつしよにタクシーで湯田温泉に遊ぶ、M旅館で賑やかに会食、近来になくハシヤいだ。
十時の汽車に乗るべく、またタクシーで、――私はたうとう愚劣きわまる酒乱患者となつてしまつた!

 一月三日[#「一月三日」に二重傍線] 曇。

茫々たり、漠々たり、昏々たり、沈々たり。
庵中独坐。
自己清算しろ、自己破産か! 自己決算か!
おのづからなる自壊作用[#「おのづからなる自壊作用」に傍点]!
――生きてゐたくない、死にたい――それも執着だ。
この寂寥、この憂欝、この虚無。
たへがたし、其中一人酔つぱらふ[#「其中一人酔つぱらふ」に傍点]。
生きてゐる真実[#「生きてゐる真実」に傍点]、食べることの真実[#「食べることの真実
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