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□藪椿[#「藪椿」に傍点]はまことに好きな花木だ、
 それに昔風の田舎娘[#「昔風の田舎娘」に傍点]を感じる、
 彼女は樸実だが野卑ではない。
□事実を掘り下げて[#「事実を掘り下げて」に傍点]、その底から真実を掴み取ることだ[#「その底から真実を掴み取ることだ」に傍点]。
□雲悠々と観る彼はいら/\してゐるのである、この気持が解らなければ、彼の作品はほんたうに味へない。

□食べる物は何でもおいしくありがたく食べる私[#「食べる物は何でもおいしくありがたく食べる私」に傍点]、私は私を祝福す[#「私は私を祝福す」に傍点]る!
□意志の代用としての肉体的缺陥[#「意志の代用としての肉体的缺陥」に傍点]。
  (私の病は私を救ふ)
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 二月四日[#「二月四日」に二重傍線] 晴。

歩行困難、そして気分安静、――快い矛盾[#「快い矛盾」に傍点]、肉身おとろへて心気澄む[#「肉身おとろへて心気澄む」に傍点]、とでもいひたい境地である。
うらゝかな小鳥のうた、春が来たやうな微風。
それにしても、今日も郵便は来ないのか、さび
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