間――彼等は共に社会のダニだ。
[#ここで字下げ終わり]
二月一日[#「二月一日」に二重傍線] 曇――雨。
更始一新。
或は雨を聴き、或は書を読み、終日独坐。
孤独、沈潜――句作。
二月二日[#「二月二日」に二重傍線] 晴、時雨。
いよ/\身心安静なり。
たよりいろ/\、どれもうれしいが、Yさんから米代(酒代といふのだが、現在の場合では酒でなく米になつた)。
澄太君からルナアル日記を送つて貰つたのは、とりわけ、ありがたかつた。
午後、街のポストへ、ついでに入浴、それから一杯、――六日ぶりの風呂、三日ぶりの酒で、ユカイ/\。
ほろ酔機嫌で、うと/\してゐるところへ、Kさん来訪、お土産の餅はうまかつた、ことに草餅は。
林内閣まさに成立、とにかくめでたし。
物価騰貴、木炭の値上りは寒がりの私にはたこ[#「たこ」に「マヽ」の注記]へる、白米が一升につき一銭あがつて、三十二銭(私はいまだ米を高いと思つたことはない)。
私は近頃何となく老人、ことにおぢいさんに心をひかれる、私自身がもうおぢいさん気分[#「おぢいさん気分」に傍点]になつたからでもあらうか。
足が痛い、左足の関節のぐあいが
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