悲しい武器だ[#「弱者の悲しい武器だ」に傍点]。
[#ここで字下げ終わり]
一月三十一日[#「一月三十一日」に二重傍線] 曇。
身心正常、このマラを見よ[#「このマラを見よ」に傍点]!
午後、中村さん来庵、西蔵の線香を貰つた、さつそく一本を焚く、ほのかに伽羅の香がする。
いつしよに裏山をぶらつく、墓場の徳利を拾つたり、或は竹田小幅を売り飛ばした不孝話を聞く。
別れてから句作。
お茶漬さら/\うまい/\。
夜は婦人公論の新年号を読む、なか/\面白い。
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□貧乏しても貧乏くさくなるな。
□小さい殻に閉ぢこもつてちゞこまるな。
□独りの酔を味はひ楽しむ。
対山独酌。
□物がなくなつてその物の価値が解る。
物そのものだけでその持味が解る。
□武士は食はねど――はよろしい。
高楊枝――はよろしくない。
□自己を味ふ[#「自己を味ふ」に傍点]。
自己観照[#「自己観照」に傍点]。
□泥酔のうれしさ、泥酔は一切を撥無する[#「泥酔は一切を撥無する」に傍点]。
□自から運転させない資本の持主、自から耕作しない田畑の持主、自己の才能を発揮させない人
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