る。
句は私を救ふ。
その酒がやめられないのだ。
句が作れないのだ、ほんたうの句[#「ほんたうの句」に傍点]が作れないのだ。
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――或る日の独白
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十一月十七日[#「十一月十七日」に二重傍線] 晴。
午前中は身辺整理。
午後、買物がてら、ちよつと街まで出たのがよくなかつた、一杯が二杯になり、二杯が五杯になり、五杯が十杯になつて、何が何やらわからないほど泥酔してしまつた。
やつぱり、ほろゑい人生[#「ほろゑい人生」に傍点]でなくてどろゑい人生[#「どろゑい人生」に傍点]だつた、愚劣だ、醜悪だ。
自分で自分のあさましさにあきれる。
飲まずにはゐられない酒だけれど、飲めば酔ふ、酔へば踊る、それもよいけれど、しやべるな、うろつくな、すなほであれ、おとなしくしてをれ。
負け惜しみの生活はよくない、投げ出した生活[#「投げ出した生活」に傍点]がよい。
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心を広く持て。
身をゆつくりとくつろげることだ。
放心!
ぼうつとして天地の間によこたはるべし。
くよ/\するな。
けち/\するな。
ふりかへるなかれ[#「ふりかへるな
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