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十一月七日[#「十一月七日」に二重傍線] 八日[#「八日」に二重傍線] 九日[#「九日」に二重傍線] 十日[#「十日」に二重傍線] 十一日[#「十一日」に二重傍線]
ぼう/\たり、ばく/\たり、空々寂々。
十一月十二日[#「十一月十二日」に二重傍線]
飲まず、食はず、私はぢつと寝てゐた。
夜、樹明君とSさん来訪、酒と牛肉と、そして私の我儘と。――
A君に送らなければならなかつた手紙を送ることが出来たのは、何ともいへない安心だつた、これだけがこの数日間のせめてものなぐさめだつた、それはTさんのおかげだ、そしてやうやく眼鏡を買ふことが出来たのも近来にないよろこびだつた、それもKさんのおかげだ。……
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どうすればよいのか。
どうにもならないではないか。
自我分裂[#「自我分裂」に傍点]といふのか。
自己破壊とでもいふのか。
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十一月十三日[#「十一月十三日」に二重傍線] 曇。
寝てゐる、覚めると冷酒を呷る、そして寝てゐる。
十一月十四日[#「十一月十四日」に二重傍線] 晴。
昨日の通りの今日だ。
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