かに柿をもいでゐる
・もがれたあとの柿の木のたそがれ
・散つてゐる花のよろしさがかたすみに
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   作家の発展過程
第一段階、芸術殿堂建設(初歩の)。
第二段階、芸術の現実化。
第三段階、現実の芸術化[#「現実の芸術化」に傍点](自己創造へ)。
第四段階、芸術の境地実現(究竟の)。
     (自己完成[#「自己完成」に傍点])
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 十月十二日[#「十月十二日」に二重傍線] 曇。

日中は晴れたり曇つたり、夜に入つてしぐれる音か、落葉する音か、いづれ雨は近いだらうが、それがむしろ望ましいが、なか/\かたい天候である。
落ちついて、さうだ落ちついて、ひとりで、そしてひとりで、よろしいな。
枇杷の枯枝をかたづける、この一木がことしの冬の焚付を保證してくれる、ありがたい。
ゐのこつち草――ぬすと草の実のねばりつよさよ。
午後は近郊散策、私の好きな石蕗が咲いてゐた、龍膽はたづねあてなかつた、野も山もところ/″\紅葉してゐる、百姓は田畝でいそがしく、たいがい留守であつた。
山の木、野の草を活ける、楽しみはこゝにもある。
自転屋[#「転屋」に「マヽ」
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