ゐる
・とんぼうとまるや秋暑い土
・みのむしぶらりとさがつたところ秋の風
・お父さんお母さん秋が晴れました(ピクニツク)
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 十月九日[#「十月九日」に二重傍線] 晴。

身心やうやくにして本来の面目[#「本来の面目」に傍点]にたちかへつたらしい、おちつけたことは何よりうれしい。
午前、鉄道便で小さい荷物がきた、黙壺君からの贈物であつた、福屋の佃煮、おかげで御飯をおいしくいたゞくことができる、ありがたし。
秋をたたへよ、秋をうたへよ、秋風日記[#「秋風日記」に傍点]を書き初める。
痔がよくない、昨日歩いたからだらう、痛むほどではないけれど、気持が悪い。
昼飯は久しぶりにうまい味噌汁。
何といふしづかさ、純愛の手紙[#「純愛の手紙」に傍点]といふのを読む、彼の純な心情にうたれる。
午後は畑仕事、蕪、大根、新菊などゝ播くものが多い。
夕方出かけて一杯ひつかける。
夕餉するとて涙ぽろ/\、何の涙[#「何の涙」に傍点]だらう。
何となく寝苦しかつた、おちついてはゐるけれど。――
ぐうたら、のんべい、やくざ。……
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(九日)
・うれしいことでもあり
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